出産時のはなし②
①の続き。
バタバタと手術の準備。胎児の心拍は、もうほとんどない状態のようだった、
麻酔を背中から入れられるが、激痛で体が動いてしまう。急ぐ先生、動かないで!時間がない!と叱られる…痛いよ…
夫は、ここですぐ開腹するか、大学病院へ搬送するか選択を迫られる
選択肢なんてあってないようなもの
ここで、新生児科があるわけでもない個人病院で、取り出すしかないのだ。緊急帝王切開ができるだけでありがたい。すぐ赤ちゃんを搬送できるよう、救急車には待機していてもらう。
時間がなさすぎて、麻酔半分しか効いてないけどもう切るね!我慢して!と言われて、もうどうしようもないけど本当に怖い。スーッと切られる感覚と、ぐりぐりと内臓を引っ張り出されるような衝撃、思い出すだけでつらい。。
お腹引っ張られながら、先生は叫んだと思う
お母さん、赤ちゃんだめかもしれない!
死んじゃってるの?昨日元気だったのに?助けて、痛い、息が苦しい、私死ねないよ…!
やっと麻酔が効いてきた。意識が遠のく。
赤ちゃんの顔も、声も、なにもわからないままだった。
夫は、ただワクワクと弟の誕生を待っている娘の隣で、私と息子の死を覚悟していたらしい。
赤ちゃんはすぐに蘇生術を受けながらNICUのある病院に搬送され、夫と娘はタクシーで向かった。
出血から取り出されるまで、約1時間。
この間、胎盤が剥がれたことで赤ちゃんには酸素が送られていなかった。むしろよく生きてたよね。
出生時、アプガースコア1点。
かろうじて、ほんの少し、心臓は動いてた。
私がなったのは、常位胎盤早期剥離、というものです。
赤ちゃんが生まれるより先に胎盤が剥がれてしまうもので、妊婦100人に1人発症し、原因はわかっていません。母体死亡率1〜2%、児死亡率30〜50%と言われています。
妊娠高血圧症や喫煙、既往症、外傷などがリスク要因となりますが、私はどれにも当てはまりませんでした。原因不明、ということも多いようです。
そのまま私は産院で入院し、赤ちゃんは搬送先のNICUに入院することになりました。